漫画家石塚真一による本格ジャズ漫画シリーズ「Blue Giant」の最新章「Blue Giant MOMENTUM」の第6巻を読了しました。本記事では、シリーズ全体を踏まえながら本巻の概要と魅力を順を追って整理し、ネタバレをなるべく避けつつレビューいたします。
1. シリーズ全体の流れと位置付け
「Blue Giant」は、仙台出身の高校生サックス奏者、宮本大(だい)が「世界一のジャズ・プレイヤーになる」という夢を掲げ、高校卒業後に東京へ拠点を移し、仲間たちとバンドを結成、ひたむきな練習とライブ活動、そして海外へと舞台を広げていく物語です。
シリーズは以下のように構成されています:
・「Blue Giant」(原点)
・「Blue Giant Supreme」(ヨーロッパ編)
・「Blue Giant Explorer」(アメリカ西海岸編)
・そして現在「Blue Giant MOMENTUM」が展開中。
本巻「MOMENTUM 6」は、その最新のステージであり、物語がさらに深化/拡大する節目となっています。
2. 本巻「MOMENTUM 6」の概要
第6巻では、主人公・大を始めとした主要キャラクターたちが、これまで培ってきた「音と心の共鳴」をさらに研ぎ澄ませる段階に差し掛かります。舞台設定や環境がこれまで以上にハードになっており、音楽に対する姿勢・仲間との関係・未知の挑戦が絡み合います。本巻は「これまでの集大成」かつ「次のステージへ向けた準備」の両面を持つ重要な巻として位置づけられます。
3. 本巻で印象的だった要素
3-1. 音楽表現の深まり
本シリーズ最大の魅力といえるのが、漫画という静止画の表現媒体で「音」を如何に伝えるか、そしてその「魂」を如何に描くかという点です。この巻でも、ライブシーン・セッション・即興演奏などが視覚的に強く描かれ、読んでいて胸が震えるような体験があります。感情や空気が音とともにページから伝わってきます。
3-2. 主人公の成長と葛藤
大は既に「一流を目指す」段階からさらに上を目指すフェーズへと進みます。技術だけでなく、「音で語る」姿勢や、仲間/聴衆との共鳴をどう作るかがテーマとなっており、その中で葛藤も描かれます。本巻では、過去の自分との比較や、己の甘さへの自覚も垣間見られ、「成長物語としての厚み」が増しています。
3-3. 仲間と音楽の関係性
シリーズを通じて、バンドやトリオという「仲間の存在」が音楽表現の重要な鍵です。本巻でも、その関係性はさらに深化します。互いの想い、演奏スタイル、音に対する誇りや責任が揺れ動きながらも、音を通じて再び共鳴を作ろうとする姿が印象的でした。
4. ネタバレにならない範囲でのエピソードの魅力
特筆すべきシーンとして、ライブハウスでのセッション、新たな土地での挑戦、聴衆との一体感を生む瞬間があります。どれも「音」がただ背景ではなく、ストーリーの中心に据えられており、「読む」ではなく「感じる」体験になっています。読者として、「次はどうなる?」とページをめくる手が止まりません。
また、演奏する側だけでなく、聴く側/観る側の視点も巧みに挿入されており、音楽で人と人が繋がる、音楽が人を変えるというテーマが自然に描かれています。
5. 本作ならではの魅力的なポイント
- ジャズというテーマを入口に、幅広い読者に響く普遍的な成長譚
- 楽器や音楽知識がなくても伝わる「音を体感する臨場感」
- リアルな演奏描写と、それを支えるリサーチの深さ
- キャラクターの情熱と、それに対する読者の共感
- 物語が進むごとに、舞台が日本+海外へとスケールアップ
6. 注意しておきたい点
もちろん読む人によって感じ方は異なりますが、以下の点は留意しておくと良いでしょう:
- ジャズ/音楽に馴染みがないと、専門用語や演奏描写で「少しとっつきづらさ」を感じることもあります。
- 感動のクライマックスが続くため、前段階(過去巻)からの積み重ねを知っているとさらに味わい深いです。
- ストーリーがスケールアップしているため、初めてこのシリーズに触れる方は前作までの流れを把握しておくと理解がスムーズです。
7. 私の感想とおすすめポイント
「MOMENTUM 6」を読み終えて、改めて感じたのは「漫画が音楽になる瞬間がここにある」ということ。ページをめくるたびに鼓動が高まり、サックスのエッジの効いた音、ギターのような旋律、ドラムの震えが伝わるような作画に圧倒されました。
特に、「音で語る」「音で繋がる」というテーマが、ゲームや日常のあらゆる場面とリンクする点が個人的には響きました。例えば、オンラインで仲間とセッションする体験や、音の先にある“共鳴”という感覚に似ていると思います。
音楽ファンだけでなく、成長物語/青春物語/夢を追う物語が好きな方にも強くおすすめします。そして、もしこのシリーズをまだ読んでいないのなら、可能であれば序章から踏むことで、本巻の“深み”をより味わうことができるでしょう。
8. 次巻への期待と展望
「MOMENTUM 6」は明らかに「次のステージへ向かう分岐点」。物語のスケール、音楽表現、キャラクターの芯、それぞれが次のフェーズへと飛び出そうとしています。読者として期待するのは:
- さらに大きな舞台でのライブ/セッション描写
- 国内外を問わず、音楽を通じた文化/価値観の交差点
- 主人公・大が新たな音=自分の音を見つけるプロセス
- 仲間・ライバル・聴衆との関係性の変化
これらがどのように描かれるか、ワクワクが止まりません。
9. 誰におすすめか?
以下のような方には特におすすめです:
- ジャズや吹奏楽など音楽テーマの漫画が好きな方
- 夢や仲間、熱量に心が動く成長物語を求めている方
- 音楽の知識がなくても“音”を感じたい方
- シリーズを追いかけて“何かが変わる瞬間”を味わいたい方
10.まとめ
「Blue Giant MOMENTUM 6」は、単なる続編ではなく、シリーズが目指してきた核心=“音と魂の共鳴”をさらに高みに引き上げた1巻です。読後には、静かに胸が熱くなる余韻が残ります。
このレビューが、あなたがこの作品に触れるきっかけになれば嬉しいです。ぜひページを開き、“音”を感じてみてください。


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